Apple×Google Gemini提携の全貌:SiriがついにChatGPTレベルに進化する理由

Apple×Google Gemini提携の全貌:SiriがついにChatGPTレベルに進化する理由

この記事でわかること

  • SiriがGemini搭載で「タイマーアプリ」から「本物のAIアシスタント」に進化する具体的な機能
  • Appleがプライバシーを守りながらGoogleのAIを使う「プライベートクラウドコンピュート」の仕組み
  • OpenAIではなくGoogleを選んだ戦略的理由と、Apple-Google同盟がもたらす業界地図の変化

なぜ今この話題が重要なのか

2026年、ついにAppleが動きました。AI時代に「取り残された」と批判され続けてきたSiriが、GoogleのGeminiを搭載して全面刷新されることが正式発表されたのです。

これは単なるSiriのアップデートではありません。OpenAIとの提携がほとんど機能していなかったことが明らかになり、代わりにライバルであるはずのGoogleと手を組むという大胆な決断。年間10億ドル規模とも言われるこの提携は、AI業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めています。

iPhoneユーザーにとっては、ようやく「使えるSiri」が手に入る瞬間。そしてテック業界にとっては、Apple-Google同盟の新章が始まる転換点です。

Siriが「タイマーアプリ」から脱却する日

会話型AIへの進化

2011年に登場したSiriは、当時こそ革新的でしたが、今となっては「タイマー3分!」専用アプリと化していました。「ブラジルの人口は?」と聞いても、Safariの検索リンクをポンと出すだけ。これではChatGPTに太刀打ちできません。

Gemini搭載後のSiriは違います。「ブラジルの人口は2億1400万人で、世界第◯位です。2024年のデータによれば…」と、文章で答えてくれるようになります。Appleはこれを内部で「ワールドナレッジアンサー」と呼んでいるそうです。

文脈を理解する推論能力

新しいSiriは、単なる質問応答を超えた推論ができるようになります。

例えば「母にメッセージを送って」と言ったとき、連絡先に「母」と登録していなくても大丈夫。過去のメッセージ履歴をスキャンして、「この人が母親である可能性が高い」と推測してメッセージを送ってくれます。

また、「ラザニアのレシピを探してメモに保存して」という複合的なリクエストにも対応。ウェブ検索→レシピをまとめる→メモアプリに保存、というアプリをまたいだワークフローを実行できます。これこそ「端末にAIがいる」という体験ですよね。

プロアクティブな提案機能

受け身でコマンドを待つだけでなく、Siriが先回りして提案してくれるようになります。

カレンダーに空港への送迎予定が入っていれば、「交通が混雑しているので15分早めに出発した方がいいです」と勝手に教えてくれる。電車の遅延情報を朝イチで通知してくれたら、どれだけの人が助かることか。

この機能は2026年のWWDCで発表予定とのこと。カレンダー、マップ、交通情報を横断的に理解できるGeminiの推論能力があってこそ実現できる機能です。

プライバシーはどう守られるのか

Googleにデータは渡らない

「GoogleのAIを使うならプライバシーは大丈夫なの?」という疑問は当然です。Appleが最も大事にしてきたのがプライバシーですから。

結論から言うと、GeminiはGoogleのサーバーではなく、Appleデバイス内またはApple独自サーバー(プライベートクラウドコンピュート)で実行されます

仕組みはこうです:

  • オンデバイス処理: タイマー設定やリマインダーなど単純なタスクは、従来通りiPhone内で処理
  • プライベートクラウドコンピュート: 複雑な推論が必要な場合は、Appleが管理する独自サーバーで処理
  • Googleのサーバーには一切データが送られない

GoogleのエンジニアがAppleと協力して、GeminiモデルをAppleのカスタムハードウェア(独自サーバーチップやニューラルエンジン)で効率的に動かせるよう最適化したそうです。長年の提携関係があったからこそ実現できた技術的成果ですね。

Siriのままの体験

ユーザーから見ると、裏でGeminiが動いていることに気づかないくらいシームレスになるとAppleは言っています。「Googleによると…」と言い出すわけでもなく、回答にGoogleやGeminiのブランド名は一切表示されません。

AppleはGeminiを独自にファインチューニングできる権利を得ているので、Siriの性格や回答スタイルは完全にAppleがコントロールします。ユーザーにとっては「Siriが急に賢くなった!」としか見えないでしょう。

なぜGoogleを選び、OpenAIを蹴ったのか

ブラインドテストでGeminiが最高スコア

Appleは2024年から2025年にかけて、自社モデル、Google、OpenAI、Anthropicのモデルを徹底比較しました。モデル名を伏せたブラインドテストの結果、Geminiが最高スコアを獲得したのです。

2023年末のリリース当初は評判が芳しくなかったGeminiですが、その後の改良で大きく進化していました。

スピードの問題

Appleは「AJAX」というコードネームで大規模言語モデルを内製開発していますが、フロンティアモデルと同等の性能を出すにはまだ時間がかかります。一方で、Siriの評判は地に落ちており、「このままではユーザーがAndroidに流れる」という危機感がありました。

長期的には自社モデルに置き換える計画ですが、今すぐSiriを改善するためにはGoogleと組むのが最も賢い選択だったというわけです。

OpenAI提携は「ほぼ機能していなかった」

2024年にAppleはOpenAIと提携し、SiriからChatGPTを呼び出せるようにしていました。Sam Altmanは「数十億ドルの追加収益をもたらす」「AppleはOpenAIから抜け出せなくなる」と期待していたそうです。

現実は厳しかった。The Informationの報道によると、この提携からのトラフィックはほとんどなかったのです。

理由は明白で、SiriがChatGPTを「呼び出す」というのは、文字通りChatGPTアプリを起動するという体験でした。シームレスとは程遠い、取って付けたようなインテグレーション。「そういうんじゃねえんだよ」というのがユーザーの本音だったでしょう。

業界への影響:Apple-Google同盟の深化

OpenAIの苦境

Gemini搭載後、OpenAIのiPhoneでの役割はほぼなくなります。一応Appleは契約を継続すると言っていますが、Geminiが大抵の質問に答えられるなら、わざわざ別アプリを起動する導線を踏む人はいないでしょう。

Apple-Google同盟が打破されるどころか、AIの契約でさらに深まることになりました。

Elon Muskの警告

イーロン・マスクはこの提携について「Googleによる不当な権力の集中だ」と批判しています。

これには文脈があります。そもそもOpenAIを立ち上げたきっかけが、「AIがGoogleに独占されてしまう」という危機感でした。皮肉にも、そのOpenAIが「Closed AI for maximum profit」になってしまい、Apple-Google同盟はさらに強固になっている。イーロンからすれば「Appleちゃんと仕事しろよ」という気持ちでしょう。

複数モデル戦略の可能性

Tim Cookは「今後さらに多くのAI企業との統合を計画している」と発言しています。実際、Appleはニッチな用途でPerplexity AIを使ったり、特定分野でAnthropicのモデルをテストしたりしているそうです。

画像理解用の小型オンデバイスモデル、コード用の専用モデルなど、用途別に複数のモデルを使い分ける戦略。一番大きなパイを取るのはGeminiでしょうが、選択肢はオープンに保とうとしているようです。

テスラジオの考察

この提携で最も興味深いのは、「モデルを作る会社」と「体験を作る会社」の役割分担が明確になってきたという点です。

Appleは長年UXの会社として知られてきました。今回の提携でも、Geminiという「エンジン」を使いながら、ユーザー体験は完全にAppleがコントロールする形になっています。ユーザーはGeminiの存在を意識することなく、「賢くなったSiri」として使うだけ。

これはClaudeやChatGPTのような「モデルブランド」とは異なるアプローチです。AI時代において、「技術を提供する会社」と「それを使って体験を作る会社」という分業が進んでいくのかもしれません。

もう一つ注目すべきは、OpenAIの戦略ミスです。「湖畔のような静けさを持つデバイス」でプロアクティブなAI体験を実現しようとしていたOpenAIですが、すでにディストリビューションを持つAppleが「通知を抑えればいいだけ」と実利を取りに来ました。新デバイスなんか必要ない、というわけです。

2026年のWWDC以降、AppleがどのようなAIネイティブ体験を出してくるか。イーロンの警告通りGoogleの支配が強まるのか、それとも複数モデル戦略で競争が保たれるのか。今年は目が離せない一年になりそうです。

まとめ

  • SiriがついにChatGPTレベルに進化: 会話型AI、文脈理解、アプリ横断ワークフロー、プロアクティブな提案が可能に
  • プライバシーは維持: GeminiはAppleデバイスとプライベートクラウドコンピュートで実行され、Googleにデータは渡らない
  • ブラインドテストでGemini勝利: 実力とスピードでGoogleを選択、年間10億ドル規模の契約
  • OpenAIは蚊帳の外に: 2024年の提携はほぼ機能しておらず、Apple-Google同盟がさらに深化
  • 長期的には自社モデルへ: AppleはGeminiを「つなぎ」と位置づけ、AJAX開発を継続

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